ベルクソンの主著にして最も難解と言われる『物質と記憶』。生理学・物理学といった関連諸科学の発展をいち早く取り込みつつ打ち立てられた独創的な理説のうちには、現在の知見に照らし合わせることで初めて浮かび上がってくる、多くの挑発的なアイデアがいまなお潜伏している。各分野の気鋭の理論家たちが集結して、その可能性と射程を徹底的に吟味する。
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2015年度シンポジウムの論集が、2016年11月に書肆心水から出版されます!
『ベルクソン『物質と記憶』を解剖する――現代知覚理論・時間論・心の哲学との接続』
『物質と記憶』を、アフォーダンス知覚理論、認知科学、時間の分析形而上学、などに接合する新しい試みです。発表時の論文に加え、新規にコラムやリプライ論文などを収録した意欲的なものになっております。ベルクソン研究者の方々のみならず、広く哲学・科学形而上学・意識の科学などに関心のある方々に手にとっていただきたいと願います。
このたび私どもの科研費チームで、アンリ・ベルクソンの主著『物質と記憶』をめぐる国際シンポジウムを開催する運びとなりました。今回の研究の特徴は、当該書における理説を、現代の諸科学や英米系で発展した分析形而上学といった最新の諸理論と照らし合わせる点にあり、人選やセッションごとの特定質問者の設定など随所にあらたな試みを持ち込んでおります。このシンポジウムにおける議論によって、ベルクソンの思想に新たな展望が開けることを期待してやみません。
東京・法政大学 市ヶ谷キャンパス 80年館7階大会議室
セッション1(13:00-15:00)司会:平井靖史(福岡大学)
ポール=アントワヌ・ミケル(トゥールーズ大学)
『物質と記憶』第一章における科学と意識の関係
三宅岳史(香川大学)
ベルクソンと「記憶の科学」の台頭
特定質問者:エリー・デューリング(パリ第10大学)
セッション2(15:20-17:20)司会:安孫子信(法政大学)
ジョエル・ドルボー(パリ・ガロワ高等学校)
現代から見るベルクソンの二元論
合田正人(明治大学)
記憶と歴史――リクールからのベルクソン再読
特定質問者:藤田尚志(九州産業大学)
全体討議(17:40-18:30)
東京・明治大学 駿河台キャンパス アカデミーコモン2階 A2-3室
セッション1(13:00-15:00)司会:合田正人(明治大学)
スティーヴン・E・ロビンズ(無所属)
ベルクソン、ギブソン、外界のイマージュについて
河野哲也(立教大学)
ベルクソン、イナクティビズム、生態心理学
特定質問者:檜垣立哉(大阪大学)
セッション2(15:20-17:20)司会:藤田尚志(九州産業大学)
セバスチャン・ミラヴェット(トゥールーズ大学)
哲学と認知心理学を定義する――ベルクソン哲学とブルーナー認知心理学における知覚理論の分析から
平井靖史(福岡大学)
現在の厚みとは何か?ベルクソンの二重知覚システムと時間の流れ
特定質問者:岡嶋隆佑(慶應義塾大学)
全体討議(17:40-18:30)
京都・京都大学 吉田キャンパス 文学部新館 第一・第二講義室
セッション1(13:00-15:00)司会:杉村靖彦(京都大学)
バリー・デイントン(リバプール大学)
時間経験から時間へ――ベルクソンを分析的に展望する
伊佐敷隆弘(日本大学)
何が記憶を一列に並べるのか?
特定質問者:平井靖史(福岡大学)
セッション2(15:20-17:20)司会:檜垣立哉(大阪大学)
エリー・デューリング(パリ第10大学)
遠隔作用と時間の流れ
郡司ペギオ幸夫(早稲田大学)
過去の折込によって形成される未来
特定質問者:三宅岳史(香川大学)
全体討議(17:40-18:30)
告知ポスターPDFファイル(日・英)はこちらからダウンロードしていただけます
※入場無料・予約不要。主要言語は英語(一部フランス語)。
講演テキストは日本語訳付きで、質疑には通訳あり。